【神商連しんぶん2016年12月号】
  • 「みんな哲学を持った経営者だ」11月6日 第10回神商連商工交流会に106人参加

    「こうやって商売を切り開く」と題しておこなわれたパネルディスカッションでは異業種連携協議会専務理事の芝忠さんをコーディネーターに許沢精機の柳沢芳信さん(川崎中原・金属加工)、泣xルコムの鈴木普さん(大和・通信機器工事)、ちくま屋商店の井出重夫さん(多摩麻生・鮮魚店)、渇涛。接骨医院ヘルパーステーションの遠藤昭さん(横浜南部・介護事業)の4人をパネリストで討論しました。

    柳沢さんは医療・航空宇宙関連の精密機器部品加工をおこない、それを可能にしているのが熟練された腕自慢の職人と特色のある技術を持つことで幅広いネットワークがよその会社で断られた複雑な仕様も受注することができると話しました。また、取引先の値引き要求を断る苦労を紹介しながら、確かな技術で仕事をする誇りを語りました。

    鈴木さんは何度も受けた税務調査を民商の仲間とともに対峙してきた経験を紹介。商売では「仕事の質に誇りを持っているが、クレームなどのトラブルの時にはきめ細かく顧客の要求を汲んで対応すること、そしてどんな仕事でも引き受けて仕事のつながりを広げている。これは民商の仲間がいるからで口コミで仕事が広がっている」と報告しました。

    井出重夫さんは中学卒業と同時に東京での独立を夢見て上京し、丁稚小僧として修業した経験を紹介しながら、大型スーパーの相次ぐ出店で生鮮三品の商売が大きな打撃を受ける時代を店以外の給食の仕事で経営を安定させながら、消費者の要求を敏感に感じ取り、魚介を使った惣菜作りなど、大手スーパーでは対抗できない商売をしてきたと話しました。

    遠藤さんは接骨院を開業。社会保障制度に「介護保険」が導入された平成12年に介護事業を開始しました。この事業は社会保障と深いかかわりがあるため、政治動向が反映されると語り、介護報酬の引き下げで、経営が苦しくなり、社会保険料の事業主負担分の支払いが大変になった経験を紹介し、事業努力とともに悪政を変えていく運動の重要性を訴えました。

    コーディネーターの芝さんは「みんな哲学を持って経営をしている。そして仕事を断らずネットワークの技術を磨き上げて、信用を広げている」と感想を述べて終了しました。

    「業者の生き方、面白かった」「困難を打ち破る話に元気をもらった」などの感想が寄せられています。

  • 第1分科会「客観的に仕事が見えた」

    第1分科会ははじめに事例報告がおこなわれました。長岡真也さん(横浜南部・行政書士)は2回の持続化補助金申請不採択の原因を分析し、「事業に対する思い入れが足りなかった」と反省。事業計画を練り上げ、3回目の挑戦で採択されました。寺門朋子さん(横浜緑・旅行業)は相談員が「馬旅」の言葉に注目。この分野で仲間とともに事業計画を作成。「事業を客観的に見えるようになった」と意義を強調しました。

    毎月開催している「あきない塾」で補助金獲得にとりくんだ恩田洋さん(横浜緑民商事務局長)は「みんなが自らの事業を見直す良い経験になった」と事業計画づくりの意義を強調しました。

    助言者で診断士の上品忍さんは補助金獲得のポイントや審査する側の視点を説明し、全額補助でないので、自らの負担分もきちんと考えて対応すること、今回の申請がすでに始まっていることを紹介しました。

  • 第2分科会「税金より命が一番大事」

    第2分科会は問題提起を受け、実態報告がおこなわれ、とりくみを交流しました。社会保険料の滞納で差押え通告されたTさんは「滞納にはそれなりの理由があるのに職員は聴こうとしない。民商の仲間と言ったら対応がガラッと変わった。仕事への思いといっしょに月2回通って返済している」と報告しました。Yさんは換価の猶予を活用して、返済している経験を紹介し、「もっと広く制度を知らせて困っている人を助けたい」と訴えました。大和民商では法人の集団申告をとりくむ中で、10件の換価の猶予にとりくんだ経験が報告されました。

    助言者の小原芳則さんは徴収現場が機械的強権的になる背景を告発。佐伯正隆税理士は「(滞納で)命をなくすようなことはするなと言いたい」話しました。

  • 地域経済振興の思いはいっしょ

    民商・神商連は「秋の運動」で全自治体を訪問し、小規模振興基本条例の制定と実態調査、リフォーム助成の実施、税・社会保険料の強権的な徴収の是正、消費税10%増税やインボイス導入中止、マイナンバー制度と所得税法56条の廃止を求めて、懇談を進めています。多くの自治体で率直な意見交換が行われ、昨年の自治体訪問と比較しても突っ込んだ意見交換がおこなわれています。

    条例の制定を求めると多くの自治体が「総合計画で中小企業への支援を位置付けているから考えていない」と否定的です。しかし、小企業(従業員5人以下)の6割が300万円以下であること、売上1500万円の建設業者を例に、360万円の事業所得の4割が税・社会保険料に消えて、2割の業者が期日通り納められないこと、こうした業者が地域を支える重要な役割を果たしていること訴えると「今年から町の職員と中小企業診断士で継続的な小企業訪問を実施している。起業カルテをつくって地域経済振興に生かしたい」(寒川町)、「高齢者も含めて、元気で働き、暮らせるまちづくりをめざしている。そのために業者の実態を調べるのは当然」(茅ヶ崎市)などの声が出されました。住宅リフォームでは「6年間進めている。年250万円の予算で3千〜4千万の仕事が生まれ、持続的な地域経済をつくっている」(二宮町)など懇談を通して知った情報を他の自治体で紹介すると関心を示し、商店リニューアルでは高崎の事例を紹介すると伊勢原市では興味を示していました。また、「ホームページで情報は取り寄せて研究している」(松田町)など昨年の懇談がその後の政策の検討に生かされていると手ごたえも感じました。

    徴収問題では多くの自治体が「法律に基づいてやっている」と回答。小企業の所得と負担の実態を踏まえ「督促状や催告書だけを送り待つだけではなく、職員も増やして『負担の公平』ではなく、生存権を守る立場で対応してほしい」と訴えると「私たちも生活を守る立場でがんばっているが限界がある。みなさんからも声をかけてほしい」と生存権を守る立場で対応することを約束しました。

  • おいしいよ!止まらない!11月12・13日横浜東民商一泊旅行

    横浜東民商は11月12〜13日、石和温泉一泊旅行を24人の参加でおこないました。国の名水百選に指定されている「忍野八海」では、紅葉の素晴らしさに感動。昼はほうとう鍋に舌鼓を打ちました。2日目のブドウ狩りで、「おいしいよ、止まらない」とブドウ棚の下で話も弾みました。「ハーブ園、旅日記」の販売コーナーでは「まけて〜」を連発。商売人の本領を発揮しました。

  • 商売・人生を語る
    「仲間が貴重な財産」 横須賀民商 緒方 澄江さん
    居酒屋【大将】横須賀市衣笠栄町1-43 TEL:046-853-6212

    緒方澄江さんは1948年山口県宇部市で生まれました。親は漁師でした。就職のために親戚のいる関東地方に出て、今のご主人と知り合い、結婚。当時、御主人はクラブを経営し、既に民商の会員でした。やがて自分も居酒屋を衣笠駅前の今の場所で開店。民商の支部では、近所で美容院を営むベテランの会員が足しげくやってきて、当時は「色々とうるさいこと言うなぁ」とちょっと疎んじていました。しかし、今から思うと「商売人にとって大事なことの数々を助言してくれた」と澄江さん。その役員さんが一生懸命、民商活動で走りまわっていたのを強烈に記憶しています。多くの会員と知り合いになったことも貴重な財産になったと話しています。

    今は、お客が少なくて金曜・土曜でもさびしい限り。会員どころか500円の新聞代も厳しいという同業者が多く、民商の拡大もなかなか難しい状況です。何とか民商を増やしていきたいと、横須賀民商の「みかん狩り」に同業者を誘っています。

  • ふいごとそろばん 横浜東民商 岩森 壮介さん

    本業の印刷業とアルバイトの生活が逆転して久しい。二つあった工場の一つ軽オフセット工場を整理してからはアルバイトの介護の仕事が主になってしまった。しかし、ありがたいもので「岩森さんにやめられては」と言ってくれるお得意さんに支えられ、「印刷業の岩森さん」で辛うじてかんんばっている。残った活版設備の工場は、私が親の仕事を見よう見まねで覚えて活版印刷一筋で来たので、手放したくはなかった

    ▼「活版設備は文化財」などと強がりを言っていたが、活字というのはケースにセットされていて価値のあるもの。たまにする仕事では、整理されない(解版字返し)活字の山が積み上がりガラクタになりつつある。活字合金は再生の道が活字に戻る以外なく、厄介なゴミとなっている

    ▼「活字離れ」「活字文化」など文字の代名詞として使われてきた活字。本木昌造がこの横浜で起こした活字印刷に対する誇りが印刷屋として、業者としてのステイタス

    ▼民商運動の支えとして、業者として、活字と心中するつもりでがんばりたい。

7つのまちがいさがし

民商紹介ムービー

県下民商のホームページ