■ 商売人生を語る お父さんが置いてってくれた幸せ カーテン作りに感謝をこめて
インテリア和縫製 岩崎和江さん
横浜駅から相鉄いずみ野線でおよそ30分。高い建物のないおだやかな風景が広がる中に、岩崎さんのオーダーカーテンの会社・作業場があります。入り口を開けると、色とりどり、鮮やかな柄のカーテン生地がゆらり。その奥にエプロン姿もさわやかな岩崎和江さんの笑顔がありました。
横浜・本牧出身の和江さん。4年半のOL生活を経て兄同士が親友だったご主人と結婚。小さい頃から知合いでほとんど幼馴染と言える間柄でした。
ご主人は十八年間のサラリーマン生活から起業します。当初は座椅子やソファの張替え業でしたが、その問屋に勧められ、カーテン業に移ります。
三歳違いの長男・長女、二人の子育てをしながら、ご主人の会社の事務を手伝い、つかず離れず商売の近くで過ごしてきた和江さん。
しかし、およそ10年前、ご主人が他界します。借入れの返済とともに、問屋の買掛金も残っていました。どうしようかと思っていたところ、問屋から「仕事はあるのだから、これからも取引を続けましょう。奥さん、やってみなさいよ」と声をかけられ、和江さんは決意します。
長い間勤めていてくれたスタッフが「奥さんがやるのなら手伝うわよ」と気持ちよく言ってくれました。さらに和江さんの背中を強く押してくれたのは会社を借りていた大家さん。「まずは一年間と思ってやってみなさいよ」と応援してくれて、家賃も半分にしてくれたのです。ミシンやその他の設備・機材も全部そろっている、やってみよう。そのときから早10年。注文が集中したときに手伝ってくれる二人のスタッフも加え、四人で切り盛りしてきました。
マイナスもプラスに変えて
仕事の大きなウエイトは“お直し”。メーカーなどに依頼された直しは、小回りのきく、下請けに依頼されます。住宅を新築・購入したけどサイズを間違えてしまった、でも日数を置かず、すぐに直してほしい・・・。このようなニーズに即応えられる仕事が重宝がられ、信頼を得てきたのです。仕上げのスピードは大手に勝ります。
最近、表通りにカーテン専門店ができ、大型のホームセンターも増え、個人のお客さんは減っています。しかし、また、そんなところからの直し注文が循環しています。それでもずいぶん前にオーダーしたお客さんが、節目のときに思い出してくれて、「長い間使ったから新しくしようかな」「ずいぶん痛んだけど気に入っているから直して」と尋ねてきてくれることもあり、うれしさが広がります。「サービスだけが売りだから、お客さんに伝わっているんですね」と和江さん。
地域に配られるタウン誌などがもっぱらの宣伝手段。ここからやって来てくれるお客さんも少なくありません。
「私はとにかく、“人”に恵まれています。嫌いな人はいない。それが私をここまで運んでくれた宝です。プラス思考あるのみ」と。二人の子どもたちも三ツ境、希望が丘と会いやすいところに生活しています。休みの日にはお孫さんたちの世話のため、バイクを飛ばします。「今が一番幸せ。お父さんは借入れもそうだけど、私が元気に生きていける仕事や人のつながりを残していってくれた。毎日仏壇に手を合わせ、感謝しています」と笑う和江さんの何と若いこと。
神商連しんぶん2009年5月(第221号)より
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