この場所で「肉のヨリヤ」を創業したのは44年前。自分は和菓子職人になりたかったが、父親から「これからは高校くらい卒業しておけ」と言われてアルバイトをしながら高校に通った。アルバイト先が肉店で、卒業後も朝早くから夜遅くまで懸命に働いた。その後、数年間だけサラリーマンとなったが、26歳の春に一念発起して肉屋を開業。自己資金は無く、肉屋のアルバイトの頃の問屋さん達が信用貸しで資金や設備を用意してくれた。その人達には今でも感謝しており、お付き合いが続いている。店名の「ヨリヤ」は、祖父母がやっていた撚り糸工場の屋号を頂いた。
開業前に結婚していた妻と2人でよく働いた。どんな商売でも誠実に働けば、それだけの収入と利益が出た時代だった。ところが、各地にスーパーが進出。さらにコンビニ店や郊外型の専門店が急増し、魚屋・八百屋・食料品店など街の小売店が閉店に追い込まれる時代になった。現在、肉屋組合員はかつての半数以下になり、各地の商店会が維持できなくなっている。頼まれて32ある店の商店会長をしているが、どこでも後継者が無く、地域の商店街の活性化は容易ではない。
2年前、B1グランプリで厚木のシロコロが優勝し、インターネットで注文が増えている。市や商連のイべントでは「厚木の豚漬け」を宣伝し「おいしい」と評判が出ている。「ヨリヤの豚漬け」は自家製の味噌タレが自慢。お中元やお歳暮の贈答品としてお客さんから「送り先から喜ばれている」と褒められるのが励み。
民商に出会ったのは開店して間もなく、近所のラーメン店の紹介だった。記帳や申告の仕方が解らなかったのですぐ入会した。それから43年。民商では様々な業種の先輩がいて、商売につながる智恵や税金・実務の知識など沢山のことを教わった。いろんな人に出会えたこと、つながりが広がったことが民商に入って一番良かったこと。民商では支部の税金相談員と商工新聞の配達をしている。
消費税を10%以上にする動きがあるが、景気が悪く、消費税の納税義務を負わされている中小業者は商売を継続できなくなる。庶民増税しながら、年金や医療などますます悪くすることも許せない。
今は、店を開けて毎日働けることが喜び。妻と従業員の長谷川君(息子と間違えられる程よく働いてくれる)と3人で商店会や民商など人の結びつきを大切にしながら商売を続けていきたい。
神商連しんぶん2012年1月(第253号)より
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