大崎洋二さんが、今はマンションが建ち並ぶ下小田中に自動車板金塗装の工場を構えたのは昭和46年。まだ川崎市が区制になる以前で「中原区」の名称もなく、あたりは畑と田んぼが広がる、のどかで遠くの景色まで見渡せた時代です。
中学を卒業してすぐに叔父さんの勧めで板金塗装会社に就職し、10年間修行を重ねて25歳で独立開業しました。
民商との出会いは開業して7年後の税務調査のとき、同業の民商会員の紹介でした。「10人以上が立会いにきて、楽しくやったよ」と笑います。
「とくに営業はしてないけど、お客さんがお客さんを連れてきてくれるよ。民商の仲間も紹介してくれるしね。一度仕事を請けたお客さんは、みんな次もきてくれるから」と飄々と語る大崎さん。仕事の途切れることがないのは、長年培った確かな技術もさることながら、その人柄にあります。話を聞いている最中にふらっとやってきたお客さんとの会話も愉快。「忙しいの〜?娘が旅行に行くからさ〜軽(自動車)見てやってよ」「お〜安くやってやるよ!」「いや、値段はいいんだけどさ」「とか言ってどうせ親父が払うんだろ」「まあね……」
板金塗装の仕事について聞くと、「仕事は大好きだね。天候にも左右される繊細な仕事だけど、年に数回、完璧な仕事ができるときがある。その瞬間の喜びは大きいよ」その喜びを常に追求する職人気質が、地域に信頼を築いてきた礎です。
現在、工場は洋二さんと息子の久雄さんの二人でフル稼働。「少しずつ息子に仕事を任せてるよ。俺も身体が動くまで一緒にやっていくけどね」と頼もしい息子に目を細める大崎さん。後継者もしっかり育っています。
休みの日は、民商の仲間と旅行に出かけるのが一番の楽しみ。「先月は箱根、今度は鬼怒川、安い宿を探して数多く行くんだよ」と嬉しそうに話してくれました。
神商連しんぶん2010年10月(第238号)より
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