保育園に入れない
             自営業者に不利な入所選考基準
 新年度の保育園入所申込みとその選考が始まっています。共働き世帯が増加し、特に都市部では保育園の不足で待機児問題が深刻です。自治体ごとに設けられている入所選考基準は、自営業者を最初から低いランクにしている場合が多く、このほど入所を希望する二組の家族が川崎市に実情をうったえながら、ランクをとりはらうよう交渉をおこないました。
 川崎幸民商の三浦雅弘・優希さん夫妻は優希さんのお父さんが経営する和食屋で働いています。三歳になる息子の颯太君は保育園に入れず、毎日優希さんは車で送迎し、鶴見区に住むいとこに預け面倒をみてもらっています
 店の二階が両親の住まいですが、おじいちゃんは病気で入退院を繰り返し、おばあちゃんは視力障害があり、子守はできません。  優希さんは颯太君の毎日を考えると、春から保育園に入りたいと福祉事務所へ申請に。担当者は「ご主人は基準ランクAですが、奥さんは収入が低いのでBです」と話し、入園が困難であることが伝えられました。早朝から夜遅くまで働いても店の利益から、優希さんの給料は八万円がやっとです。
 店は三浦さん夫婦と優希さんの姉の夫の三人で切り盛りしています。お姉さんはパートに出ていて、やはり三歳になる長男の入園手続きを一緒にしましたが、こちらはAランク。自営業者には不利な選考基準になっているのです。
 川崎中原民商の中野●●・●●さん夫妻は両親が営む蕎麦店で働いています。六七歳の父親のもとで、若い二人も主力です。
 昨年九月に長男の●●君が生まれ、店の二階に寝かせて仕事の毎日。「ハイハイしだしたら一人にしておけないし、店は火や油、刃物などで危険です」と●●さん。そこで入所申請に行きました。担当者は「両親が揃っているのだから仕事をしながら見られるのではないか。奥さんの収入が低すぎて選考対象にできない。資格をとるか収入を上げることだ」と、やはり●●さんはランクBに。二度三度と相談に行き「店の状況や二人の働く実態を見に来て判断してほしい」と頼んでも「そのような制度はない」と相談が進みません。
「店の状況から、急に給料をたくさんもらえることは不可能。長時間労働で時間給三〇〇〜四〇〇円が商売の現実です」と●●さんは話し、かたわらで●●さんは●●君を抱き途方にくれます。

親子に明るい春を
 一月一七日、川崎市との交渉には二つの若い世帯とともに、おじいちゃんやおばあちゃん、民商の仲間など一七人が参加。
 それぞれが入所申請時の担当者の対応を話し、参加者からも「同じ労働時間でも、うちで働くよりパートや勤めが優先される。はじめから自営業者はBというのは公平性に欠ける」「働いている実態があやしい、と疑ってかかっている」「高収入世帯優先と言っているようなもの。子育て支援、福祉の目線が欠けている」と意見や抗議が次々と。
 川崎市の担当者課長は「公平に選考するための基準だ。実態として中心に働いているなら基準からしても中心者ということになる」としながらも、選考は各区福祉事務所がおこなう、として言及しませんでした。
 しかし、基準の矛盾の指摘や商売やくらしの実態のうったえに、「皆さんの事例については各福祉事務所に問い合わせします」と回答しました。
 入所決定は当然、Aから優先されます。五〇〇人近い待機児を抱える川崎市ではBランクの世帯の入所は絶望的といいます。また、世帯分離しそれぞれに確定申告している親子が、保育園の入所申請にあたっては家族経営者とみなされているのも大きな矛盾です。
 両親が店の仕事でがんばる中で成長を続ける●●君と●●君。「春には必ず入園を実現させよう」「差別的で業者に不利な選考基準は廃止させよう」と、運動は続きます。

神商連しんぶん2008年2月(第206号)より
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