| 納得してからこその逸品の日本酒 | ととらく |
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30数年前から宅地化がすすみ、新しい住民が住み始めた東急田園都市線あざみの。この駅からほどなくして北嶋則之さんの店「ととらく」があります。店の表にある看板には耳慣れない名前がびっしりと。これが「ととらく」自慢の日本酒の銘柄です。
愛宕の松、五橋、賀儀屋、いい風、おんな泣かせ・・・通りを行く人が足を止めます。日本酒の銘柄と知って、酒好きはその一つひとつの味を何となく想像するのですが及びません。北嶋さんがこの店の主として座ってから10年が過ぎました。町に数え切れないほどある居酒屋。せっかく自分の店を選んで寄ってもらうのだから、まずは自分が納得いく酒を飲んでもらいたい、という北嶋さんの思いで集められた数々です。 北嶋さんは自らの足で仕入先に出向き、自らの味覚で日本酒を選びまず。いわゆる誰でも知っているような『美味しい』とされるものは置かない。『日本文化のある日本酒』が「ととらく」のコンセプトです。北嶋さんのこの姿勢が知られ、昨年の5月には3週間にわたり、地元ラジオ番組に招かれ、酒の話しを披露しました。 戦前には全国に8000あった酒蔵が、戦後の国策で三倍醸造が強いられ(同じ量の原料で三倍量醸造する)、資本力のある大手メーカーが生き残り、小さくても良質の酒蔵が消えてしまいました。現在ではその数2200。この11年間で400の酒蔵がつぶれたといいます。これから百年もたったら・・・。 30歳代も後半になったころ「ああ、日本酒はこんなに旨かったんだと思ったんです」と。これをきっかけに勉強を重ね、利き酒の資格をとりました。北嶋さんの知識の源は仕入先の主人などによるところが大きく、いいと思う酒を手にするにはその信頼関係は欠かせません。 「作られてから40年近く経つ古酒の味はすごいです」との話しに、「え!日本酒にも古酒ってあるんですか」と驚き。日本酒も年中一定の温度で照明もなく、保存の条件がよければ生き続けるとのこと。興味深い。 日本酒を愛し商売を愛し 北嶋さんは20代の頃東京神田で紅茶専門の喫茶店をやっていました。いわゆる茶色系で統一された内装の店で提供する“お茶”。しかし時代の流れで喫茶店も斜陽に。大好きな喫茶店、しかし食べていけないと葛藤を重ねます。三一歳で店をたたみ会社に勤め、同時に横浜へ転居。その当時、この「ととらく」はサラリーマン時代に常連として通っていた店でした。店主から「店をやめようと思う。どう、やってみない」と打ち明けられ、決意します。 「ととらく」とは能登地方の言葉で、女房が海女で稼ぎ、とと(おやじ)は楽をするという意味。先代がつけたこの店名もそのまま引き継ぎました。 郊外のベットタウン型のこの町。以前は会社員が多く立ち寄りましたが、企業の撤退などで、客層が変化しています。家族連れも多く訪れますが小さい子どもは極力断るとのこと。「店は危険がいっぱい。大事な子どもさんたちに火傷でもさせたら大変。せっかく寄ってくれるのに申し訳ないですが」と、北嶋さんの優しさも伝わります。 日本酒が中心の「ととらく」は、もちろん焼酎やビールも置き、またひとひねりの肴も目を引きます。黒はんぺんを使う「静岡おでん」は超人気です。 豪快な北嶋さんの話を聞きながら絶品の酒をいっぱい。どうぞお出かけください。 神商連しんぶん2008年2月(第206号)より
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