【04.11.01】きめこまやかさで大手に勝つ〜お客さんに重宝がられて〜
鶴見民商
製缶業
小沼和幸さん
有限会社オヌマ工業
TEL 045-573-2636



新しい経営のノウハウやコンピューターを積極的に導入し、父親の製缶事業を兄弟で手伝い、家族タッグを組んで10年。いま、父は息子たちに事業を引き継がせようと、一線から実を引き始めています。息子たちの仕事ぶりに目を細めながら…

父の背中を見て育つ

 戦後の高度経済成長を支えてきた東京大田区六郷の町工場で、溶接技術を取得した父・幸雄さんは、72年知り合いと共同経営で信栄工業を立ち上げました。

 85年、現在の鶴見区駒岡にオヌマ工業を構えると同時ぐらいに「技術には自信があっても、経理は全く分からない」と鶴見民商に入会しました。
「小さい頃から、いつも仕事に追われる父の姿と仕事を弟と見て育ちました」と和幸さん。
 しかし、経理を見ていた奥さんに先立たれると、経理に無頓着な幸雄さんは事業の記帳・決算・申告に行き詰まってしまいました。
 それでも幸雄さんは、二人の子どもを育てながら、鉄関係の溶接―階段や手すり、歩廊、架台の製作・取付で顧客を増やしていきました。
 弟・浩幸さんは高校を卒業を卒業すると、すぐに父の仕事を手伝い始めました。

息ぴったり兄弟タッグ誕生

 92年、和幸さんは13年勤めた大手印刷会社を辞め、父たちと一緒に仕事をすることになりました。業務内容がわかっていても実際面はまったくの素人です。

 父ゆずりの石橋を叩いて渡るタイプの浩幸さんといつも相談しながら事業を進めます。93年にはこれまでの会社づとめの経験を生かし個人事業から有限会社に組織変更しました。コンピューターも導入しました。経理を覚えるため、民商に日参しました。

 大手にのまれてしまわない経営戦略は、小さい会社だからこその「きめこまやかさ」を徹底させることです。
 従来の、注文主から図面をもらっての仕事から注文主に代わって現場で採寸をし、仕事の図面を引くなど徹底したサービスです。
 そのために自分で図面を引けるようになろうと、和幸さんは独学でCADを修得しました。仕事の正確さも実感でき、自信につながりました。

いま仕事がたのしい

 「お客さんの負担を省いてあげて“あそこならば寸法から製図まで全部やってくれるよ”と、努力していることを認めてもらってうれしいです」と話す和幸さんのまなざしが引き締まります。
最近では鉄より高い技術と繊細さを求められるステンレスの注文が増え、そこにもお客さんから寄せられる信頼感が感じられます。
 和幸さんの親しい後輩も大きな戦力。「仕事に行き詰まったり、気持ちが一致できない時などは、三人で話し合います。そこが俺たちのいいところ。いま、この仕事が本当に楽しいです」と頼もしいリーダーシップが伝わってきます。「ホームページなども充実させて、待ち仕事ではなく、こちらから切り開き、ふみ出す仕事がしたい。人も増やしたいです」と大きな夢も。

お前たちに任せたよ

 「いやあ、おやじはもう全然仕事に関心ないのか、一切口出ししない。なにか言ってほしい時もあるんですよ、正直!」と笑う和幸さん。「お前達に任せたよ」「大丈夫だよ、おやじ!」と、父と息子の声なき会話が聞こえてくるようです。



神商連しんぶん2004年11月号(第167号)より
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