| 【04.06.01】「風はすべてを育てる」蕎麦打ちに魅せられて |
| 多摩麻生民商 手打ちそば 萬風坊 金成純子さん 飲食業 TEL 044-955-7051 |
気品のある店です。「色々なお客さまが出入りし、くつろいでいただく中で、店に艶が出てきました。1年ぐらい前から私もこの店に愛着がもてるようになりました」は、女主人・金成純子さんの弁です。無心になりたくて茨城産の常陸秋蕎麦をつかいます。この粉は打っているときにいい香りがするんです。鉢の中で粉を捏ねて、水が均等にいきわたったとき、私は全身にひやっとしたものを感じます。その瞬間が私はたまらなく好きです。釜から上げて、冷水で洗っていると、手の感覚でおいしさがわかります。私は、蕎麦を打ちながら無我の境地を求めています。意識して、過酷な中に自分をおいて、疲れ果てるまで動いていると、求めるものに近づける気がします。 結果、お客さまから「うまかったよ」と、声がかかると、またがんばる気持ちになっています。 金成さんが吟味する地酒もすべて好評です、金成さんは、「超」のつくこだわり屋さんです。 萬風坊の由来金成さんが、小田急線新百合ヶ丘駅南口マプレに、自分のお店を開いたのは2002年2月、54歳の時でした。これまでのしがらみを断ち切って、ゼロから出発したいという強い思いがこの地を選びました。 「風は萬物を成長させる大本だと、むかし、お坊さまから聴いたのを思い出して、自身も無から蘇生し、成長しようと決意して、屋号を≪萬風坊≫としました」カラの釜を持ち上げ、営業用天ぷら油を鍋に移し替える力もない心細いスタートでした。 こまったら民商へ昨年の10月、沸騰した湯釜をひっくり返し、二ヶ月間休む大やけどをしました。これならやって行けるなあと思っていた矢先です。早速資金繰りに行き詰まり途方にくれているときに、狛江の友人の「困ったことがあったら民商に行け」という言葉を思い出し、12月の雪の降る日に多摩麻生民商の事務所を訪ねました。 手さぐりでも職人として修行したわけではありません。お客さまの声を聞きながら、毎日が手さぐりで甘みの強い蕎麦を打っています。五感が「おいしさ」を確実に覚えていくのを感じながら…。おいしくなれ、と蕎麦を打つときが私の至福です。神商連しんぶん2004年6月(第162号)より
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